レッドブル・ホンダ、待望のパワーアップ。スペック4で本丸にメス (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 サマーブレイクの2週間の閉鎖を経て、両ドライバーがチームに合流できたのはレース週の月曜日。トロロッソの本拠地ファエンツァのファクトリーにシミュレーターがないガスリーは、レースに向けた準備も決して十分とは言えない。

「(人事異動は)個人的にはある意味、ちょっとビックリしましたね。でも、我々がやることは変わりませんし、スタッフもドライバーと一緒に(チーム間を)動かさず、まったくそのままキープしています。揉めることも一切なかったですね。両ドライバーにとって、ポジティブな形になってくれればと思います」(田辺テクニカルディレクター)

 レッドブル、トロロッソの各チーム1台ずつにのみスペック4を投入したのは、2台ともにグリッド降格ペナルティで最後方からのスタートを強いられ、レースの勝負権を失うのを避けるためだ。今回投入しなかった2台は、来週のイタリアGPで投入してペナルティを消化することになる。

 レッドブルもトロロッソも現在のランキング争いを優先するため、昨年のようにペナルティを何度も受けながら、翌年に向けたパワーユニット開発を進めようとは思っていない。

 またホンダは、開発アイテムの進捗状況と待ち受けるサーキットの特性から、ここでスペック4の投入をチームと協議のうえで決めた。このスペック4とこれまでの手持ちストック分を合わせて、残り9戦を走り切ることが可能かどうか、ぎりぎりのラインにある。

「もう1基投入すれば、またペナルティになりますし、それをどう考えるか。とくにICEを、どう使っていくか。これからレース状況を見ながら、やりくりを一生懸命やります」

 いずれにしても今週末、同じサーキットで2チームの同じマシンにそれぞれスペック3とスペック4が搭載され、直接比較することが可能になる。通常は確認が難しいパワーユニットの差異を確かめるには、絶好の条件だ。

 そして、それがシーズン後半戦、レッドブル・ホンダがどこまでメルセデスAMGやフェラーリとの優勝争いに加わっていけるかを占う。レッドブルとホンダにとって、極めて重要なレース週末になる。

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