2019.08.01

ホンダとトロロッソの清く情熱的な関係。
クビアトの表彰台に思わず涙

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 トロロッソ・ホンダが表彰台に立った。チームにとっては2008年イタリアGP以来、実に11年ぶり2度目、そしてホンダとタッグを組んでから2年目にして初の表彰台獲得となった。

 雨で大荒れとなったレース。中盤の46周目にセーフティカーが離れてレースが再開される瞬間に、ダニール・クビアトだけがピットに飛び込んでドライタイヤに交換した。路面は急激に乾き、1周後にはほぼ全車がピットインして後を追ったが、この間にクビアトは3位に浮上することに成功したのだ。

巧みなレース戦略で3位表彰台を獲得したダニール・クビアト「ブラックコメディーのホラー映画って感じだったね。途中、『もう僕のレースは終わったな』と思った場面もあったけど、レース中盤になってまた復活した。(45周目に)誰もピットに飛び込まなかったのを見た瞬間、これは僕らに流れが来ているなと思ったよ。

 実際、そのとおりになったし、3位という結果に大満足だ。信じられないくらい、ジェットコースターみたいなレースだったよ。まさに僕のキャリアみたいな感じだね(笑)!」

 デビュー2年目にしてトロロッソからレッドブルに昇格したクビアトだったが、焦りから精神的な安定性を欠いた。翌年途中にはマックス・フェルスタッペンとトレードという形でトロロッソへ降格となり、その後も精神的安定を取り戻すことができず、翌シーズン途中で解雇された。

 しかし、フェラーリでシミュレーター開発ドライバーとして1年を過ごし、一度はあきらめかけたF1のシートを今季、再び与えられてパドックに戻ってきた。そのクビアトは見違えるように、精神的に成長していた。

 その成長ぶりが、ドイツGPのような荒れたレースで遺憾なく発揮されたのだ。

「彼は多くを学び、大きく成熟したよ。今日も長いレースになることを見越して、混乱に巻き込まれず、他車と不用意に争うことはせず、左フロントタイヤをセーブすることに集中していた。そして、一度たりともミスを犯さなかった」

 そう語るフランツ・トスト代表は、早くからクビアトの才能と能力を高く評価していた人物のひとりだ。精神的な不安定さから成績を残せず解雇されたが、本来の実力さえ発揮できればクビアトは優れた結果を残すことのできるドライバーだと、常々言い続けてきた。