2019.05.30

佐藤琢磨、周回遅れから怒涛の追い上げ。
伝統のインディ500で3位入賞

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 今年のインディ500では、2度目の挑戦となった元F1チャンピオンのフェルナンド・アロンソが予選落ちを喫し、超高速をキープして走る世界最大のレースが独特の世界であることがあらためて証明された。一筋縄ではいかない難しさ、奥深さを備えているのが100年以上の歴史を誇るインディ500なのだ。

 103回目のインディ500を制したのはシモン・パジェノーだった。フランス出身のパジェノーは2006年にアメリカに渡り、2011年にインディカーにスポット参戦するチャンスを与えられると、スピードと手堅さの両方を見せ、翌2012年にホンダ・エンジンを使うチームのレギュラーに抜擢された。

 そこから3年間で4勝を挙げて、2015年にシリーズ最強のチーム・ペンスキーに移籍、2016年にチャンピオンに輝いた。アメリカで奮闘を始めて11年目にひとつめの夢を叶えると、その3年後、もうひとつの目標だったインディ500での優勝を、8回目の挑戦で成し遂げた。

 2008年のインディ500ウィナー、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、燃費でアドバンテージを築いてチャンスをつかもうとしたが、展開が味方せず、最後はアクシデントに巻き込まれた。

 2013年ウィナーのトニー・カナーン(AJ・フォイト・エンタープライゼス)と2014年ウィナーのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、今年は優勝を狙えるレベルまでマシンを仕上げることができなかった。

 また、インディ500で3回勝っているエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は、序盤に他のドライバーが犯したミスの餌食となり、史上最多の4勝目は今年も実現しなかった。

 そして、昨年のウィナー、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、ピットクルーにぶつかる自らのミスでペナルティを課され、優勝争いから脱落。

一時は周回遅れになりながら、インディ500で3位となった佐藤琢磨 キャリア11回目、インディ500で初のポールポジションを獲得したパジェノーは、200周のレースで116周をリードした。スピードがあったのは確かだが、手のつけられないほどの速さではなく、常に逆転される危機に晒され続けていた。そして終盤、彼に挑んだのはアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)と佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)だった。ロッシは2016年、琢磨は2017年のウィナーだ。