「抜けないモナコ」の壁は高く。
レッドブル・ホンダ、優勝に一歩届かず (3ページ目)
通常、ターボエンジンはドライバーがスロットルペダルを踏み込んだ時に、その開度とトルクの出方に差異が出る。それをナチュラルにトルクが出ていると感じられるような"味付け"をするのが、トルクマップだ。
しかしピットイン時には、スタート発進時にどんなスロットル開度でも最高のトルクが出るようなトルクマップを用意しておき、それを選択する。言い換えれば、スロットルを踏めば常に最大トルクが出る、オンオフスイッチのような状態になるマップだ。
フェルスタッペンは発進直後に、ピットレーンでボッタスと交錯して接触。そんな混乱のなかで、トルクマップを元に戻すのを忘れたまま、ピットアウトしていってしまった。コース上でのトルクマップ変更は許されていないため、そのまま走り続けるしかなかった。
「詳しい数字は言えないけど、かなり通常とは異なる(トルクの出方をする)マップだからね。(スロットルペダルを踏んでいくと)急にパワーが出るような感じになるんだ。最初の数周は、かなり手こずったよ」
そんなトルクマップに数周で適応し、周囲が異変に気付かないほど乗りこなしてしまうこと自体が驚異的なことだが、限界ギリギリのところまで攻めてオーバーテイクを仕掛けるという局面においては、そういったハンディキャップが少なからず響いてしまった。
結果、フェルスタッペンは2位でチェッカードフラッグを受け、5秒加算ペナルティで4位に後退してしまった。ピエール・ガスリーは3グリッド降格ペナルティで中団に飲み込まれていたが、堅実な走りで挽回して5位。
そしてトロロッソ・ホンダ勢も、ドライバーたちが「今季初めて」と口を揃えるスムーズな週末を過ごして7位・8位に入り、ホンダ製パワーユニットを搭載する4台のマシンすべてが入賞を果たした。これは、ウイリアムズ・ホンダとロータス・ホンダで1−2−3−4フィニッシュを果たした1987年イギリスGP以来のことだ。
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