鳥羽海渡のMoto3初優勝に奮起。今年の日本人ライダーはひと味違う (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 決勝レースでは、奇しくもふたりとも他車からの追突を受け、佐々木はオープニングラップでリタイア。5周目に追突された真崎は、マシンを引き起こして再スタートしたものの、ポイント圏外の19位で終えた。

 佐々木は昨年から何度もトップグループでバトルを続けていただけに、自分こそが久々の日本人優勝という栄誉を勝ち得るつもりでいたことは想像に難くない。レーシングアクシデントとはいえ、納得のいかないリザルトともあいまって、レース後の佐々木は唇を噛みながら鳥羽の優勝をテレビモニター越しに見つめていた。

「今まで一緒に戦ってきた仲間だしライバルだし、海渡が勝ったから自分もできると思える。これからシーズンは18戦あるので、追いつけるように集中して戦っていきたい」

 しずかに語る表情からは、次こそ自分が優勝してみせる、という強い意志も読み取れた。

 一方、昨年はデビューイヤーながら、シーズン後半にはフロントローを獲得するなど高い資質を発揮してきた真崎は「正直、ホントにとても悔しいです」と素直な感情を口にした。

「今回は海渡におめでとうと伝えたいけど、次は絶対に負けないので、今度は自分が優勝したいと思います」

 子ども時代から切磋琢磨してきた友人が目の前で優勝した姿は、他の誰が優勝するよりも真崎には最高のカンフル剤になったはずだ。

 Moto3クラス最年長の21歳、鈴木竜生(すずき・たつき/SIC58 Squadra Corse)も、開幕戦は不運にも転倒に巻き込まれてリタイアを喫した。

 2015年にデビューし、少しずつ実力をつけて自信を深め、今年で5年目のシーズンを迎えた。レースを振り返る際には、「とりあえず、鳥羽君にはおめでとう、ですね。ウィークを通して速かったし、レース運びもうまかった」と、歳下のライバルにエールを贈ったものの、自らのレース内容は苦笑とともに語るほかなかった。

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