鳥羽海渡のMoto3初優勝に奮起。今年の日本人ライダーはひと味違う (6ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「自分の課題だったレース序盤の競り合いやペースアップは、今までと180度違っていい走りができました。前がホンダとドゥカティのワークスで速くてオーバーテイクできなかったんですが、それを抜きにしてもいいレースだったと思います」

 タイヤが摩耗してきた中盤以降のペース維持には少し課題も残したが、ホンダ勢では中上が唯一リアにソフトコンパウンドのタイヤを装着していたことを考えれば、まずまずの結果というべきか。

「去年は6位が1回あるけど、内容は今回が一番うまくいったと思います。序盤からトップ集団で走れたし、上位の転倒などで繰り上がって得た結果じゃないですから」

 ホンダ、ドゥカティ、スズキ、ヤマハの2019年型マシンを数えるだけでも12台、という現状を考えると、開幕前に掲げた「予選で毎回Q2にダイレクト進出、決勝はトップテン」という目標の達成はけっして容易なものではない。

 しかし、「もうちょっと行けたかなとも思うけど、重要なシーズン序盤3戦のいいスタートを切れたと思います」と本人が語るとおり、今季の中上が駆る2018年型RC213Vの仕上がりはよく、開幕戦で彼が見せた走りも期待に十分見合うものだった。

 それを念頭に置きながら、2019年マシン勢のセットアップの煮詰まり具合と中上の相対的な趨勢(すうせい)を比較すれば、とくにシーズン序盤の数戦は、戦い方次第で開幕戦と同様か、あるいはそれ以上の結果を得られるチャンスも見えてきそうだ。

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