佐藤琢磨は優勝争いに食い込めるか。インディ開幕、今季の勢力図 (4ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 テストの7番時計(1分47秒3662)は、グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)だった。

 レイホールは2015、2016年と、2年続けてトップ5入りしたが、この2年間は6位、8位とランキングを落としており、2018年は優勝もなかった。だが、チームは昨シーズンから佐藤琢磨を迎えた2カー体制となって、ジワジワと成果を挙げており、今年は琢磨とともにトップ5、さらにはチャンピオン争いへと食い込んでいきたいところだ。

 今回のテストでは、走り出しのセッティングがいまひとつだったが、2人で別々のプログラムをこなしてセッティング向上のきっかけを発見。琢磨もテスト終了間際に1分47秒7183をマークし、13番手で走行を終えた。ストリートの速さはトップクラスで、ロードコースでのパフォーマンスも上向きの彼らは、エンジニアを補強したことによってスーパースピードウェイにおけるスピードアップも実現できつつある。

 琢磨は走行後、「最後の最後でしたが、マシンの状態をよくすることができ、それが好タイムを出すことにつながりました。ベテランエンジニアも新たに起用し、自分たちのチームはまた強化されています。タイトル争いを行なうためにも、開幕戦から思い切りいきます」と話していた。

 一方、ホンダ対シボレーのエンジン・バトルは2012年から2メーカーによる真っ向勝負が続いている。

 昨年はホンダがマニュファクチャラー・タイトルを獲得。今回のテストでもトップ10に8人が名を連ねており、2年連続タイトル獲得の可能性は高い。現行エンジンは基本部分を2020年まで保つと決められており、今季に向けて大きな設計変更は行なえない。ライバルに差をつけるには、小さな改良を数々積み重ねることでパワーを絞り出すしかない。

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