2輪もジェットも。ホンダF1、
2018年体制は全社挙げての総力戦だった (2ページ目)
しかし、そこにホンダジェットで培ったタービンブレードやシャフトのノウハウが反映されたことで、第2戦・バーレーンGPに対策型MGU-Hが投入されてからは大きなトラブルが消えた。
そのようなことが、複雑なパワーユニットのあちこちに施されていったのだという。
ただ、「言うは易く、行なうは難し」で、そもそもどこの部署にどんなノウハウがあって、パワーユニットのどこにどう活用できるかという知見は、そう簡単に結びつけられるものではない。社内の風通しが抜群によくなければ、そんなことはできないのだ。山本モータースポーツ部長はこう説明する。
「HRD Sakuraがやったことは、僕もすごいと思いますよ。今シーズン途中にHRD SakuraのなかでF1以外のいろんな部門のスペシャリストを集めて、方向性を議論し始めたことで加速度的によくなった。HRCは4輪のレースエンジンをやっている人だけじゃなくて、2輪だってチャンピオンを獲っている。彼らには彼らの利点があるし、ホンダジェットなどいろんな要素も採り入れています。
ホンダはいろんな分野で専門性を持ってやっている人がいて、ノウハウがある。要は『ホンダの総力戦でやろう』ということです。浅木体制になってから、それを加速度的にやってきました。それが、シーズン中盤戦から信頼性が高くなったところに寄与しているのも事実です」
シーズン開幕前、浅木は「自分が猛獣だからこそ、猛獣使いになって、そういう活きのいい若手を活躍させることができる」と語っていた。
具体的にはどのように、それを成し遂げていったのか。それは、まるで動物園の檻をなくし、すべての動物を放し飼いで自由に行動させるようなものだと、山本モータースポーツ部長は言う。
「HRD Sakuraが動物園だとすると、浅木は猛獣だから、自分の動けるエリアが固定されているのが嫌なんですよ。柵の中に入るのが嫌なんです。だから、これまでライオンだとかサルだとか、それぞれの動物がそれぞれの檻の中でしか動けなかったのを全部取っ払って、『お前ら、動物園全体を見て仕事しろ!』って解放した感じですね。以前は、『君はこの檻の中だから、ここから出ないでこのエリアでがんばってね』ってやっていたのを、『動物園全部を使ってやれよ』ということです」
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