3年ぶりスーパーGT優勝も、山本尚貴がレース中に不愛想だった理由 (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 山本はピットウォールで、チェッカードフラッグを受けるバトンを迎えた。そして振り返ると、初勝利に歓喜するメカニックの姿があった。

「僕にとっては3年ぶりの優勝ですが、ATJのみんなにとってはGT500に参戦して初めての優勝。レースが終わった後、いつも僕が泣くことが多いんですが、今回はみんなが泣いていました。その姿を見たら、(メカニックたちが)ここまで責任のある仕事をしてくれていたんだと感じ、僕もより責任感が増しました。みんなのためにも残りの2大会、全力でがんばりたいなと強く思った瞬間です」

 この優勝で、山本とバトンは合計61ポイントとなり、ドライバーズランキング首位を奪還。2番手以下に12ポイントのリードをつけ、シリーズチャンピオンに大きく近づいた。ただ、大量得点したことで、次回の第7戦・オートポリスは61kgの重いウェイトハンデを背負わなければいけない。

「(第7戦は)楽なレースにはならないでしょうけど、クルマとタイヤがうまく決まれば、ウェイトを積んでいても、燃料リストリクターが絞られていても、勝つことはできると思います」

 レース後、山本はようやく笑顔になり、その表情は自信に満ちあふれていた。このメンバーだったら絶対にチャンピオンを獲得できる――。待望の優勝を遂げたことで、その想いはさらに深まったように感じられた。

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