鈴鹿8耐は今年もヤマハが強かった。予選1位のカワサキ、悲願叶わず (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 8耐で何度も表彰台に登壇し、今回はTeam KAGAYAMAの総監督として指揮を執ったケビン・シュワンツ氏に、このMotoGP選手たちの傾向について訊ねる機会があったので、氏のコメントを最後に紹介しておこう。

「甘えだと思うよ」と、シュワンツ氏はこの傾向を一刀両断した。

「彼らは世界選手権の頂点で緊密なチャンピオン争いをしているから来たくない、というのかもしれない。でも、私ならここに来てレースを走るね。バイクは厳密には違うし、タイヤも異なるだろうけど、8耐は間違いなく世界最高のバイクで走る機会なんだ。ここにきてプラクティスと予選とレースで1週間を過ごし、世界選手権の場に戻ると、実戦で鍛えた分だけ自分の実力は必ずアップしている。

 どんなにハイレベルの選手でも、必ずまだ向上の余地がある。全周回を完璧に走り切ることは絶対にできないし、タイヤが摩耗してきたときほどライダーの実力差が出る。その意味で、8耐は自分を磨く最高の機会なんだ。

 私は、体調が100パーセントではない状態で8耐に来たこともあった。8耐ウィークを休養に充てたり、トレーニングで過ごすこともできたけれども、私にとって最高のリハビリはレースバイクに乗ることだった。2ストロークと4ストロークの違いなんて関係ない。750ccのスーパーバイクから500ccのGPマシンに戻っても、何も問題はなかったよ。

 ヤマハでも、スズキでも、ホンダでも、ドゥカティでも、強いチームを作りたいのなら、ふたりのライダーを8耐で一緒に走らせるのが一番の方法だよ。このレースでは、シャンパンを浴びたかったら同じバイクで協力して走らないといけないんだ。それを経験すると、GPパドックでも選手の関係が近づいて、きっとさらにいい結果を生み出せるようになるよ」

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