ロレンソ、破竹の2連勝。来季獲得のホンダは「いい買い物」をした? (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 ホンダRC213Vはドゥカティに近いタイプで、高い旋回速度でタイムを削り取っていくのではなく、動力性能を活かしながらコーナー手前でしっかりと止めてクルッと周り、素早く立ち上がる〈メリハリの効いた〉乗り方でタイムを稼ぐバイクだと言われてきた。

 ロレンソの移籍先として大勢の人々がホンダを想像しなかったのは、この理由によるところも大きい。

 ただし、この2連勝からもうかがえるように、ロレンソはエンジンパワーで乗るマシンの走らせ方を確実に体得しているのかもしれず、それが事実なら、ドゥカティ首脳陣は今更ながら逃した魚の大きさを痛感しているのかもしれない。また、そうであるとすれば、来シーズンのホルヘ・ロレンソがホンダのファクトリーマシンでどのようなパフォーマンスを発揮するのか。これは大いに関心を集めることになるだろう。

 さて、ロレンソがレプソル・ホンダ・チームと契約したことで、にわかにその去就に大きな注目を集めることになったのが、ダニ・ペドロサだ。

 ペドロサは125cc時代から一貫してホンダのマシンで戦い続け、2004年と2005年に250ccを連覇した後、2006年からはレプソル・ホンダ・チームのライダーとして、13年間ファクトリ−マシンで戦い続けてきた。

 少年時代にペドロサの才能を見いだし、世界のトップライダーとして育成してきたアルベルト・プーチは、今シーズンからレプソル・ホンダのチームマネージャーに就任しているが、かつて師弟関係にあったこのふたりも、実は近年はぎくしゃくした間柄になっているともいわれている。そのために、ペドロサのチーム離脱は既定路線とも一部では言われていた。

 事態はそのとおりに推移したわけだが、第7戦・カタルーニャGPのレースウィーク前日にペドロサの記者会見動画中継が予定されていたために、これが引退発表になるのではないか、との憶測が一気に広がった。走行が始まる前の木曜に選手たちはいつも囲み取材を行なうが、通常は紙媒体などの質疑応答が中心で、それがライブ配信されることはよっぽどのことがないかぎり行なわれない。そのよっぽどのこととは、今回の場合、引退会見だろう、というのがその推測のロジックだった。

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