F1ホンダ、ついに新パワーユニット投入。ストレートでブチかませ! (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「ホンダはマクラーレンと3年間、とても厳しい時間を過ごしてきたけど、彼らの献身性は本当に印象的なものだった。F1で最強のエンジンを作り上げるために、必死に努力してきたんだ。

 僕自身、日本のスーパーフォーミュラで彼らと一緒に仕事をして、彼らが目標を達成するまでに、いかにすべてを投げ打って努力する人たちであるかを知っている。もちろん、F1は誰もが100%全開でプッシュしている世界だから、成功を収めるまでには時間がかかる。でも彼らは、インプルーブ(改善)するためにやれることはすべてやっている。それは確かだよ」

 その信頼に、ホンダは応えなければならない。

 懸念される信頼性については、これまでに多くを学び、事前チェック項目も大幅に増やしてきた。さらに、現場の運用においても慎重を期す。

「もちろん、がんばってパワーが出れば出ただけ厳しくなるところもありますから、パワーが1段上にいけば信頼性の面でも1段上の難しさが出てきます。性能とバーター(で厳しく)になる部分の保護も含めて、壊さないようにしながら最大限のパフォーマンスを引き出すというのが、現場側の使命だと考えています」

 そう語る田辺テクニカルディレクターは、大言壮語はしないが、今このモントリオールに送り込まれてきたアップデート仕様のRA618Hの性能をフルに使い切るべく、闘志を燃やしている。

「アップデートされたハードウェアを最適化して使って、ベンチ上で出ている向上(伸び)を実走でもしっかりと出す。持っているものを使い切るということをやりたいですね。その結果はトルクとか計測データに出てきますから、それをきちんと刈り取って、『出ているよね』と確認するのが大切な仕事だと思っています。そのうえで、いいポジションで予選・決勝が戦えればと思っています」

 今シーズン開幕前からここまで一歩ずつ進んできたホンダにとって、今季初めての大きな一歩。それがどんな前進をもたらすのか、今週末が楽しみだ。

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