2018.05.17

「燃費ならホンダが優位」を覆す、
シボレーの進歩と超絶ドライビング

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は不思議なドライバーだ。呆れるほどに速いときもあれば、驚くほど脆い面も見せる。オーストラリア出身の彼が、アメリカのオープンホイール最高峰に挑戦し始めた当初は、後続を突き放して大量リードしながら、単独クラッシュして勝利を逃すことを繰り返していた。速さをゴールまで保つことができずにいたのだ。

 2009年にインディカーシリーズ最強のチーム・ペンスキーに迎え入れられたが、その後もそのキャラクターはなかなか変わらなかった。ペンスキーのエンジニア、マシン、クルーを得たパワーは、持ち前のスピードを結果に繋げるようになったが、2010年、2011年、2012年と、3年続けてチャンピオン争いをしながらランキング2位に泣いた。

 2014年、ついにパワーは念願のチャンピオンに輝く。だが、その後も磐石の強さを身につけることはなく、変わらないキャラクターのまま今日まできたように見える。37歳になったがスピードに陰りは見えない。そして、相変わらずミスも犯す。

チーム・ペンスキーにとって200勝目となる勝利をあげたウィル・パワー(中央) 2018年シーズンのパワーは、予選で速さを見せながらもポールポジションを逃し続け、レースでも勝てないことでイライラを募らせていた。第4戦バーミンガムではヘビーウェットのコンディションに足をすくわれてクラッシュ。「リスタートを切るには危険すぎるコンディションだった」とレースコントロールを非難したが、マシンのコントロールを失ったのはパワーだけで、いかにも説得力に欠けた。

 だが、続く第5戦インディカーグランプリで、パワーは久しぶりに圧倒的な強さを見せて優勝した。バーミンガムで21位フィニッシュしたのと同じドライバーとは思えないパフォーマンスを、インディアナポリスのロードコースで見せ、今季初勝利を飾った。