F1ホンダ、無残なレースに。「信頼性が最優先」とは何だったのか? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 一方、最後尾グリッドからスタートしたガスリーは、スタート加速でザウバーとウイリアムズをパスし、ターン9でハートレイも抜いて3つポジションを上げた。マーカス・エリクソン(ザウバー)がトラブルでスロー走行した際、ダブルイエローが振られて抜けずに6秒をロスしたが、そこからふたたび前のフォースインディアとウイリアムズに追いついていく速さを見せた。

 しかし15周目、終わりは突然やってきた。

「ターン12に入るまで、何も前兆はなかったよ。全開でコーナーの出口を出ていったら、突然パワーユニットのスイッチがオフになって、一度は復活したんだけどまたスイッチオフになり、次にオンになってからは1速ギアのままゆっくりとピットに戻ってくることしかできなかったんだ」(ガスリー)

 MGU-H(※)のトラブルだった。開幕前テストからノートラブルで3レース週末分を走り切っていたはずのパワーユニットが、ここにきてわずか1戦目で壊れてしまった衝撃は大きかった。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

 ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは、神妙な面持ちでこう語った。

「MGU-Hに異常が発生したので、ピットに戻しました。まったく予兆はありませんでした。テストで性能と信頼性を見極めてきたのと基本的に同じ仕様のものを持ち込んでいますから、(トラブル発生は)想定外です。早急に何が起きたのかを突き止めないといけません。

 まだマシンを開けていませんから詳細はわかりませんが、ハードウェアに異常が出ていることはわかっていますから、これからHRD Sakuraに送って(トラブルが起きた)モノを見て解析し、データも細かくチェックして、そこから次の対策も含めて考えていきたいと思います」

 ガスリー車のパワーユニットの走行距離は、まだたったの482km。年間3基と考えれば、1基あたり5000~5500kmは走らなければならないだけに、これはあまりにも早い。

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