2018.03.05

インディカー開幕直前、佐藤琢磨の
チャンピオンはハッキリ見えている

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 2015年からインディカーシリーズで始まった「自動車メーカーによる空力の開発・供給」は、3シーズンで終了した。ホンダとシボレーの2メーカーが提供したエアロキットには、当然のことながら実力差が生じた。コースによっては、一方の陣営は最初から勝負にならないようなケースもあった。出場全車が同一の空力パッケージで走っていた2014年までの方が競争は激しく、レースが面白かったとの結論に達したのだ。

インディ500連覇とシリーズ王者の期待がかかる佐藤琢磨 しかも空力開発には膨大な費用がかかるため、自動車メーカーに負担を強いる。それ以上に深刻だったのは、毎年更新されるパーツを購入することで、出場チームの経営が圧迫されてしまったことだった。

 そこでインディカー(主催者)、ホンダとシボレーの自動車メーカー2社、シャシーの根幹となるモノコック・タブを作ったコンストラクターのダラーラが力を合わせ、よりルックスが魅力的で、安全性が高く、激しい競争を実現できる新しいエアロ=ユニバーサル・キットが作り出された。これなら新パーツの開発競争はなく、チームの負担も減る。そして何より、実力伯仲の見応えある戦いが繰り広げられることになる。

 昨年までの3シーズンは、各チームは2メーカーの作ったエアロの性能をどれだけ引き出せるかを競い合ってきた。それが今年からは共通エアロでの戦いに変わる。全チームに新しい空力パーツが行き渡った1月からテストが解禁され、テストはフロリダやカリフォルニア、アリゾナといった冬でも温暖な地で行なわれてきた。シリーズやファンの期待する通り、チーム間の実力差は縮まり、昨年以上の混戦模様となりそうな気配が漂っている。

 もっとも、歴史と実績のある強豪チームは、新エアロの特徴を把握する能力や、その性能をいかに引き出すかという戦いとなっても、高い実力を発揮するだろう。これまで強かったチームが今季も強いままである可能性はもちろんある。しかし一方で、優秀なエンジニアと開発能力の高いドライバーの組み合わせが新エアロのセッティングのツボをいち早くつかみ、思わぬアドバンテージを築き上げるケースも十分に考えられる。