真夏のインディ怪奇現象。ホンダ最速の佐藤琢磨がポールから謎の失速

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 インディカー・シリーズ第14戦。ポコノ・レースウェイは三角形をしている。「普通のオーバルじゃつまらない」と、コーナーはひとつ少ない3つにして、それぞれのコーナーは半径もバンクの傾斜も変えてあり、ついでに3本あるストレートも長さが異なる。全長は2.5マイルもあるから超高速で、マシン・セッティングもドライビングも難しい。

 今年のインディ500ウィナーである佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)は、この手のコースを得意としている。大胆なドライビング、マシンを感じ取る繊細な感覚、セッティングを磨き上げる能力に優れているからだ。

ポコノでポールポジションを獲得、満面の笑みを浮かべていた佐藤琢磨だが...ポコノでポールポジションを獲得、満面の笑みを浮かべていた佐藤琢磨だが... 1989年を最後に途切れていたポコノでのインディカー・レースは、2013年にカレンダーに戻ってきた。琢磨のインディカーでの4シーズン目、AJ・フォイト・レーシングでの初年度だ。以来、予選は8位、4位、9位、3位と全部シングル。決勝は2015年の6位以外は22、21、22位と散々だったが、毎年、純粋な速さを見せている。そして今年、ついに琢磨はポールポジションを獲得した。キャリア7回目となるPPは、スーパースピードウェイにおける初めての獲得でもあった。

 ところが、レースでの琢磨は大苦戦を強いられた。

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