可夢偉の次は誰? F1昇格を狙う日本人ドライバーたちの2017年 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 マレーシアとシンガポールはいずれも政府が自国PRの一環として始めたもので、シンガポールGPは市街地の中心部で行なうナイトレースという特殊さと、大物アーティストによるコンサートなどで高い人気を誇っている。

 しかしシンガポール政府は、観光PRはすでに十分に果たせたと考えているようだ。市街中心部にグランプリ開催のためのコンクリートウォールや人工照明装置などの準備を何ヵ月もかけて整えるため、周辺のショッピングモールやホテルの営業に影響を及ぼすことや、莫大な開催権料を考慮すれば、開催を終了すべきとの声が挙がっている。

 一方でマレーシアGPは、地元の物価からすればチケット料金が高すぎるため、売り上げが伸び悩んでいるという。自国PRという観点では2輪のMotoGPのほうが安価で効果的なPRができると考え、マレーシア政府はそちらへシフトしつつあると言われている。

 また、イギリスGPは毎年12万人もの大観衆で埋め尽くされる大人気イベントだが、開催地シルバーストンの経費的負担は大きく、こちらも開催断念を検討しているという。

 F1を運営するFOM(フォーミュラ・ワン・マネージメント)としては、チケットの売り上げに関係なく莫大な開催権料を支払うことのできる開催地へと向かい、収益を上げてきた。中東、ロシア、アゼルバイジャンと開催地を増やしてきたが、そのビジネスモデルもいよいよ限界を迎えつつあるようだ。

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