F1ホンダ、鈴鹿で惨敗。パワー不足はエンジンだけのせいなのか? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 あるチーム関係者によれば、MP4-31はコーナーの立ち上がりでトラクションが不足し、ドライバーがスロットルを踏もうにもタイヤが空転してしまい、踏めない状態だったという。つまり、非力と言われるホンダのパワーさえ使い切れていなかったのだ。

 マレーシアGPでマクラーレン・ホンダと6位争いを繰り広げたフォースインディアのタイヤ戦略を担う松崎淳エンジニアは、こう証言する。

「我々は最後のVSC(バーチャルセーフティカー)でタイヤを換えて、マクラーレンの2台を抜くつもりでした。しかし、アロンソまで抜くことはできなかった。世間で言われているほどホンダとウチの(メルセデスAMG製)パワーユニットの差は大きくありませんよ。むしろ、マクラーレンが遅いのをホンダのせいにしているだけなのではないかという気がします」

 フェラーリ製パワーユニットを使うハースのロマン・グロージャンも、「ホンダの進化がすごくて、ストレートでアロンソを抑えるのはとても難しかった」と語っている。

 鈴鹿はパワーだけでなく、コーナリング性能、それも中高速というもっともダウンフォースが必要とされるコーナーが多い。セクター1のすべてを占めるS字、そしてデグナーやスプーンなどだ。

「僕らのマシンには、高速コーナーでのダウンフォースが欠けていた」

 アロンソは、はっきりとそう言った。

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