鈴鹿8耐は「ヤマハ2連覇」。リベンジ期すホンダを返り討ち

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 栄枯盛衰は世の習い、である。2016年の鈴鹿8耐は、その対比が鮮やかに浮き彫りになるレースだった。

 昨年の大会では、「企業創立60周年」という記念の年に8耐のファクトリー活動を再開させ、威信をかけて臨んだヤマハ・ファクトリー・レーシングチームが、エースの中須賀克行に加え、MotoGPで戦うポル・エスパルガロとブラッドリー・スミスを擁して19年ぶりの勝利を達成した。

今年の鈴鹿8耐はヤマハ・ファクトリー・レーシングチームが2連覇を達成今年の鈴鹿8耐はヤマハ・ファクトリー・レーシングチームが2連覇を達成 2連覇がかかる今年は、スミスに代え、SBK(スーパーバイク世界選手権)ライダーのアレックス・ロウズが加わった。MotoGPの設計思想と技術を存分に反映させたマシン・YZF-R1の戦闘力も高く、今年も彼らが優勝候補最右翼と見なされるのは当然のことだった。

 レースに先立ち、ヤマハ発動機技術本部MS開発部長・辻幸一は、昨年の8耐以降、マシン性能やレース戦略を含め、「150箇所の問題点を洗い出し、その改善に努めてきた」と話した。なかでも、昨年のレースで最大の懸案事項だった燃費については、10パーセントもの向上を果たした、と述べ、「レース展開にもよるが、(現行のコースレイアウトで最多周回数記録である)217周を目指したい」と、大幅な燃費改善に自信を見せた。

 レースウィークに入っても、ヤマハ・ファクトリーは練習走行から一貫して盤石の強さを発揮し続けた。ほぼすべてのセッションでトップタイムを記録し、土曜に上位10チームがタイムアタックで最終グリッド順を競うトップテントライアルでは、エスパルガロが昨年に引き続き最速タイムを叩き出してポールポジションを獲得した。

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