弱小チームにもテキサス魂あり。佐藤琢磨がインディ後半戦に手応え (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano  松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 レース関係会社に対して有利な税制が敷かれているし、スキルの高いクルーもテキサスに比べて格段に確保しやすい。また、パーツ・サプライヤーの多くはインディアナポリスに本部を構えてパーツを生産し、ストックしている。風洞やシミュレーター、シャシー・テスター利用も短時間の移動で可能だ。

 そして最大のメリットは、3週間に及ぶGPオブ・インディーとインディ500の開催期間中(マンス・オブ・メイ)、クルーたちが自分の家からサーキットに日々通えることだろう。この期間、テキサスが本拠地のフォイト勢は、家族と離れて長いホテル暮らしをしなくてはならない。チームとすれば宿泊費だけでも結構な額になるし、クルーに精神的な負担がかかってしまうのだから、デメリットは小さくない。

 他のチームがロード・アメリカへテスト遠征ができたのに、フォイトが諦めたもうひとつの理由として、チームの常駐スタッフ数の違いもある。主要チームは、チームがレースに遠征している間、ファクトリーに残ったクルーたちが次のレースに向けたマシンの準備を行なう。だが、この分業ができるだけの体制が、フォイトにはまだないのだ。全員でレースに出かけ、ファクトリーに戻って次のレースに備える。クルーを増やせば経費が増大するため、今は遠征をこなせるギリギリの人数で2台を走らせている。

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