2016.06.29

ついに「勝てる日本人ライダー」を証明。
中上貴晶がMoto2初優勝

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 勝つときというのは、こういうものだろう。第8戦・オランダGPのMoto2クラスで優勝した中上貴晶(なかがみ・たかあき/IDEMITSU Honda Team Asia)は、レース序盤から先頭集団につけて、落ち着いた走りで確実に前の選手をオーバーテイクし、トップに立ったあとはファステストラップを連発しながら一気に差を広げた。3秒ほどのギャップを築いたあとは、後ろとの差をコントロールしながら、まったく危なげのない走りで周回し続けた。

日本人ライダーとしては2010年の高橋裕紀以来となるMoto2クラスで優勝を果たした中上貴晶「正直な気持ちを言えば、がんばって苦労して勝ったというよりも、『あ、勝っちゃったな』という感じですね」と、中上はこの日のレースを振り返った。

「勝つときはそういうものだよ、とよく言われていたけど、たしかにそうでした」

 2012年にMoto2クラス・フル参戦を開始以来、すでに何度か表彰台を経験しており、前戦のカタルーニャGPでも3位を獲得しているが、優勝したのは今回が初めて。

「勝ったのは2011年の全日本以来だから......5年ぶりですね。それを考えると、長かったと思います。優勝までは手が届きそうでなかなか届かなかったし、いい時期もあれば悪い時期もあったなかで、苦しみながら少しずつ這い上がり、ここ数戦で少しずつ結果につなげてきました」

 少しずつ這い上がってきた――と話すのは、2011年に走った全日本選手権は、MotoGPの世界でシートを喪失した、いわば出戻りのような状態だったからだ。