2016.07.01

「ホンダは誰と戦っているのか」
長谷川F1総責任者に序盤戦を聞く

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 凍えるような寒さだったモントリオールからわずか4日後、F1サーカスがやってきたアゼルバイジャンのバクーは、連日30度を超える猛暑に見舞われていた。強い陽射しが降り注ぐ路面温度はゆうに50度を超えており、体感温度もそれに近い。

ジェンソン・バトンは予選・決勝ともに苦しいレースを強いられた カナダから一度日本に戻って、木曜の朝にバクー入りしたホンダの長谷川祐介F1総責任者は、そのままサーキットへとやってきた。

「とても暑いですね。でも、パワーユニットに関しては熱の心配はありません。昨年はオーバーヒートに苦しみましたが、今年はむしろ余裕がありすぎて、ここまで冷えすぎないように工夫して使ってきたくらいですから。ようやく本領発揮というところです」

 2016年はバーレーンでさえも20度を下回るような異例の気象となり、開幕からここまで暑いレースが一度もなかった。バクーのヨーロッパGPが初めての高温走行の機会となったわけだが、昨年散々悩まされた熱の問題はまったくないのだという。

 それよりも何より心配だったのは、カスピ海沿いの大通りを疾走する長い全開区間だ。

「ものすごく長いですよね。距離にして2.1km、時間にすると20秒近く全開で走り続けるんですから」

 前走車のトウ(スリップストリームによって空気抵抗が減った状態)を使っているとはいえ、予選ではウイリアムズのバルテリ・ボッタスが366.1km/hという驚異的な最高速を記録。メルセデスAMG勢はパワーにものをいわせ、それ以外のチームはパワーが足りない分、ウイングを寝かせて空気抵抗を減らし、最高速を稼ごうとする。