インディ第8戦でウィル・パワー復活。佐藤琢磨はマシンが決まらず沈む (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano  松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 最速は、間違いなくチーム・ペンスキーだった。デトロイトのレースのプロモーターは、彼らのチームのオーナー、ロジャー・ペンスキー。デトロイトのコースは路面状態の悪さで知られるが、「自分たちが速さを保っている限り、コースがスムーズにされることはないだろう」なんてライバル・チームからはひがむ声も聞こえてきた。彼らのサスペンション・セッティングは、レベルが完全に一段上。モニターで見ていてもマシンの上下動が他より明らかに少なかった。ドライバーの体への負担も小さそうだ。

 レース1(第7戦)はピットタイミングが絶妙だったKVSHレーシングのセバスチャン・ブルデーが優勝したが、レース2(第8戦)ではペンスキーのドライバー4人のうち3人が代わる代わるトップを快走。ちょっとした運も味方につけたウィル・パワーが勝った。1年以上勝てていなかった彼は、表彰式で大喜びした後、安堵感に浸っていた。

 荒削りだが、とてつもなく速いドライバーだったパワーは、ペンスキー入りして勝利を重ねたが、なかなかタイトルには手が届かなかった。3回もランキング2位で終わる悔しさを味わった後、2014年に念願のチャンピオンに。いよいよパワー時代の到来か……と思ったら、2015年は不振に陥った。チーム入りした強力なライバル、ファン・パブロ・モントーヤを意識し過ぎて自分のペースを見失ってしまったのだ。

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