異例のMotoGP「玉突き移籍」で貧乏クジを引いたライダーは? (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 決勝レースを週末に控えた5月16日に、まずダニ・ペドロサがホンダとの2年契約更改を発表。翌17日には、アンドレア・ドヴィツィオーゾもドゥカティとの2年契約更新を明らかにした。そして、残留と移籍の間で揺れていたビニャーレスが5月19日に、スズキからヤマハファクトリーへの移籍を発表した。

 その日の午後、ビニャーレスを受け入れることなったヤマハモーターレーシング代表のリン・ジャービスは、ムジェロ・サーキットのパドックで会見を開き、「彼には、チャンピオンになりたいという非常に強い気持ちがある。スターになりたいためにヤマハに来るのではない。金が目的なら、もっと恵まれた環境はいくらでもあっただろう。世界チャンピオンになりたい――という野望があるからこそ、彼は我々を選んでくれたのだと思う」と話した。ビニャーレスの獲得は、やがて数年で現役を引退するであろうロッシの衣鉢(いはつ)を継ぐ才能の獲得という意味で、ヤマハにとっても最高の選択になった。

 また、これと同時に、アンドレア・イアンノーネもドゥカティからスズキへ移ることが明らかになった。これら一連の発表は、移籍先と移籍元の双方でタイミングをすり合わせる必要があるため、実際には発表よりも数日前に合意に達していたであろうことはいうまでもない。

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