ニューマシン走り始め。「メルセデスvs.フェラーリ」の軍配は? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 後半2日間を担当したキミ・ライコネンも、SF16-Hの素性の良さに上機嫌だった。

「まだ僕らはセットアップ作業もほとんどしていないし、これからまだまだ進化するけど、ハンドリングがいいし、第一印象はとても良かった。ベースとしては違和感がなくて、いい感じだ。間違いなく去年型よりも良くなっているよ」

 ただし、フェラーリのトップタイムは今年新たに導入された「ウルトラソフト」というハイグリップタイヤを履いて記録したものだ。グリップレベルの低い市街地サーキット用に開発されたタイヤであり、参考記録でしかない。

 それでも、「今年はシーズンの最後までチャンピオン争いをしたい」と、ベッテルやマウリツィオ・アリバベーネ代表が声を揃えるフェラーリが、その目標を可能にできそうな速さを印象づけたことは間違いない。

 一方で王者メルセデスAMGは、完全に我が道を行っている。

 ソフトタイヤでタイムを出すような走りは一切行なわず、黙々と走り込んで自分たちのテストプログラムに専念していた。

 驚異的なのはその走行距離で、連日150周を超える周回を重ね、4日間で合計675周――距離にして3141kmものマイレージを走破してしまったのだ。これは、グランプリ本番の10レース分にあたる距離であり、初回の新車テストとしては前代未聞の数字である。

 この走行距離には、常日頃から身体を鍛えているドライバーたちが不調を訴えるぐらい。前後左右で激しいGにさらされ続けたことで、首や背中・腰の筋肉に違和感が生じ、後半2日間はふたりのドライバーが半日ずつ分担して走行するよう予定変更を強いられたほどだった。

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