ニューマシン走り始め。「メルセデスvs.フェラーリ」の軍配は? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

メルセデスAMGは驚異的な走行距離でデータ収集に努めたメルセデスAMGは驚異的な走行距離でデータ収集に努めた ニコ・ロズベルグはこれを「テストマラソン」と表現したが、ルイス・ハミルトンも予想以上に大変だったことを認めている。

「ものすごく走ったよね。タフな1週間だった。毎日800kmも走ると聞かされて、クレイジーだと思ったよ。みんなだって久々にジムに行けば、次の日は身体が痛くなったりするだろう? これはどれだけトレーニングをしたかとかではなく、クルマをドライブするときに首に掛かる負荷は、トレーニングとはまったく違うものだからね。ジムで鍛えることはできないし、テスト初日の後は僕らだってそうなるものなんだ」

 とにかく印象的なのは、彼らが不気味なまでに淡々と走り込みを行なっていることだが、これには理由がある。技術担当エグゼクティブディレクターのパディ・ロウは、次のように明かした。

「今年は開幕前のテストが8日間と短く、例年の3分の2の日数しかない。しかし我々は、その日数で例年どおりの準備プログラムをこなそうとしている。だから、1日あたりでいえば例年の1.5倍の距離を走り込み、そうすることでマシンのポテンシャルを開幕戦までに完全に引き出すことにしたんだ」

 実際のところ、彼らはただ闇雲に走り込んでいるだけではない。

 3日目には極めて複雑な形状をした「W」と呼ばれるバージボード(※)、そして4日目には「ブルース」と呼ばれる新型ノーズを投入してきた。つまり彼らは、この4日間のなかでも着実に進歩を遂げているのだ。

※バージボード=ノーズの横やコクピットの横に取り付けられたエアロパーツ。

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