小林可夢偉の思い。「F1にいたいんじゃない。レースがしたい」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

――SFも見せ方をもう少し工夫すれば、世間の反応もあるという良い例でしたね。

可夢偉 だから、SFでも1台ずつのタイムアタックレースをやっても面白いんじゃないかなと思ったりしました。オンボード映像を見比べて、「この0.1秒の差はどこにあるやろ?」って視聴者が考えたりすれば、SFの世界観に入ってもらいやすいんじゃないかなと思うし、エンターテインメント性を上げるという意味でも良いことやと思います。

 あとは、1イベントを2〜3レースにして、年間7イベントを14戦にするとか。正直、1レースに1時間半もいらないから、レース距離を短くして、その代わりにレース数を増やしたら面白いんじゃないかと思いますね。

――SFを戦いながら、F1への思いはどうでしたか。F1に乗りたいという気持ちは?

可夢偉 トップチーム――つまりメルセデスAMG、フェラーリ、あとは上位で戦える数チームに乗れるならF1に乗りたいです。でも、それ以外のチームでどうかと言われたら......なかなか難しいところです。(本当の意味での)レースをしていないチームのほうが多いから。

――2009年末にデビューしてから約4シーズンを戦って、上位以外で走るのはもう十分?

可夢偉 2010年からザウバーで一生懸命戦って、少しずつ上位に上がってくるというストーリーがあって、僕はそれを楽しめたわけです。チーム全員がそれを楽しんでいたと思います。でも、「そうじゃないよな」って思った瞬間に、毎回サーキットに行って「こんなもんか」「あいかわらずダメか」っていうレースをやってると、アホらしくなってくるんですよ。自分たちでもデータ的に「行けてここまで」というのが最初から見えてるし、それが10位争いとかではちょっと悲しいでしょ。

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