今年の鈴鹿8耐に見た「ヤマハvsホンダ」時代、再来の予感 (5ページ目)
今年のヤマハとホンダの戦いは、かつて1980年代から1990年代にかけて、彼らがメーカーの威信をかけて真っ正面からぶつかっていた時代を彷彿させるものがあった。その時代に本田技研工業の元社長・福井威夫はHRCの社長を務めていたが、ヤマハに惨敗を喫したある年、福井は従業員たちに対して以下のような言葉を発している。
「結果には必ず原因がある。運が悪かったということでごまかさず、本来、絶対あってはならないのだということをベースに、来年に対する対応をきっちりやっていただきたい」。そして、デイヴィッド・ハルバースタム(アメリカの著名なジャーナリスト)の著書を例に挙げ、こうも述べた。「『覇者の驕(おご)り』という言葉ほど、レースにピッタリな言葉はありません」。
ヤマハは来年、鈴鹿8耐2連覇を賭けてさらに強力なファクトリー体制を敷くだろう。そして、今年の敗戦を糧(かて)として、来年のホンダはさらに強さを増して戻ってくるだろう。その意味で、はからずもエスパルガロが言ったように、今年の鈴鹿8耐は新たな歴史の始まりとなるのかもしれない。
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