目指すは頂点。マクラーレン・ホンダが貫く「攻めの姿勢」
新井康久(ホンダF1プロジェクト総責任者)インタビュー 後編
前編>>手応えあり。ホンダF1総責任者が語った新マシンの仕上がり
2月1日に始まったヘレス合同テストで、マクラーレン・ホンダは初日6周、2日目も6周、3日目が32周で4日目が35周と、満足な周回数を走り込むことができなかった。さらには、栃木で進められているベンチテストでもトラブルが相次いでいるという噂も流れて来ていた。性能面はともかく、信頼性の不安がよぎる。
全チームのなかでもっともコンパクトな仕上がりとなったマクラーレン・ホンダのマシン ホンダのF1プロジェクト総責任者の新井康久もそれは認める。
「今はレースに向けての信頼性をチェックしているフェイズなので、もちろんトラブルは出るんです。トラブルが出るのは想定内だけど、トラブルが出る場所は想定したところばかりじゃないので、バタバタしていますよ。(壊れるのは)思っていたより弱かった箇所があって、『え、こんなところが!?』というところもあります。でも、開発をしているんだからそれが普通なんじゃないですか」
つまり、最初に信頼性ありきのパワーユニットを作って性能を上げていくのではなく、まず最大限に性能の高いものを作って信頼性を上げていく。最後により性能の高いものを作ることができるのはどちらの方法論かと言えば、答えは明らかだ。それこそが、今ホンダの技術者たちが取り組んでいることであり、ホンダらしい「攻めの姿勢」だとも言える。
「最初からベンチテストで(想定寿命を)走り切れるようじゃ設計が甘いんです。壊れないということはどこかに余裕があるわけで、そんな余裕を見せてちゃダメなんです。レースエンジンですから、余裕だらけで重いエンジンを作ってもしょうがないし、ギリギリの設計をしなければいけない。シーズン中の開発が制限されている今のレギュレーションを考えても、最初に高い目標を掲げて、いいものを作らないと厳しいですから」
1 / 3