【F1】異様な雰囲気の開幕前テスト。複雑化した新マシン開発の行方は? (2ページ目)
初日最多の33周を走行したフェラーリも、コースインした1周目にトラブルでコース上にストップし、午前中はガレージの中で過ごすことになった。午後の走行も「まだ壊すわけにはいかないから様子見で走らなければならない」とチーム関係者が話すように、3周以上の連続走行は出来なかった。エンジン音を聞いていても、全開で走っている状態からはほど遠いことが分かる。
各チームトラブル続発のヘレステスト。初日最多周回のチームはフェラーリだった「まだ1日目だからどうこう言うのは意味がないけど、ライバルたちがまったく準備を整えられていないことを考えれば、僕たちは良いスタート位置にいると思う。ラップタイムは関係ない。まだクルマのことをできるだけ多く学ぼうとしている段階だからね」
初日のドライブを担当したフェラーリのキミ・ライコネンはそう語った。
最も順調な仕上がりを見せていたのは、メルセデスAMGだった。テスト開始前に発表した新車W05は、すでにイギリスでシェイクダウン走行を済ませていた。そして午前9時のセッション開始と同時にコースインして精力的に走り始め、最初に連続走行にこぎ着けたのも彼らだった。
しかし、わずか17周でフロントウイングが脱落するトラブルに見舞われ、ルイス・ハミルトンはコントロールを失ってタイヤバリアにクラッシュ。昼過ぎには走行を取りやめることになってしまった。
「どのエンジンもどのマシンも、準備が間に合っていないんです。例年に比べてテストの開始が1週間ほど早いですし。こういう状況は予想していました」
そう語るのは、ルノースポールF1で新型パワーユニット開発の責任者を務める徳永直紀エンジニアだ。
走行できなかったほとんどのチームのトラブルの原因が「パワーユニットの電気系統」にあった。パワーユニットの複雑さゆえに、カスタマーユーザーである各チームにしわ寄せが行く。初日に精力的な走りができたのがワークスチームのみであったことを見ても、それは明らかだ。
それだけでなく、新設計の8速ギアボックスや、ノーズ、前後のウイング、エンジン排気管の空力利用禁止など、車体側にも変更点は多い。そのためにチームのマシン準備は大幅に遅れたのだ。
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