【F1】2013シーズン総括。王者・ベッテルが乗り越えてきた試練 (2ページ目)
前半戦、優勝争いに加わっていたフェラーリは、次第に上位勢に差をつけられ、その差を縮められないままシーズンが終わってしまった。
「今年のクルマは、シーズン序盤はベストではないにしてもレースペースは非常に力強く、勝てるマシンだった。しかし、中盤にマシン開発が停滞し、さらにはタイヤの変更というチャンスを自分たちのパフォーマンスアップに生かすことができなかった」
敗因についてフェラーリのステファノ・ドメニカリ代表がそう振り返るように、7月のハンガリーGPからタイヤが変更されたこともシーズンの展開に大きな影響を及ぼした。
各チームのピレリタイヤへの対応が、成績に影響したシーズンとなった ピレリは今季、タイヤの耐久性を強化するために、シーズン途中に内部構造を2012年型に戻した。これによってタイヤの剛性や性能低下の特性が変わり、タイヤの性能を引き出すために、マシンをそれに合わせて変えていかなければならなかった。
前半で3勝したメルセデスAMGは、予選での一発の速さ、空力性能でレッドブルをしのぐほどの成長を見せた。そして、シーズン中盤にはタイヤをうまく使うノウハウを蓄積し、決勝でもレッドブルと互角の勝負ができるようになった。
だが、終盤はタイヤの扱いに苦労することになり、決勝では常にタイヤの摩耗と温度を気にしながら、ラップタイムを抑えて走ることを余儀なくされた。決勝でズルズルと後退する場面が見られるようになり、とくにルイス・ハミルトンは「マシンセットアップの方向性を見出すのに苦しんだ」と振り返る。夏休み明けのベルギーとイタリアで、高速サーキット専用の空力パッケージ開発に失敗したことも痛かった。
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