【F1】シーズン後半戦展望。4強のうち優勝に近いのは誰か? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 2位のライコネンは予選平均6.4位と、純粋な速さでは劣るマシンでの戦いを強いられていることは明らかだ。10戦ともQ3進出を果たしてはいるが、10位グリッドを2度も経験している。

「僕らはいつも土曜日(予選)の遅さのせいで厳しくなっているんだ。ハンガリーでも予選は酷かったし、ああでなかったら優勝争いができていただろうね」

 ロータスは他の上位チームと比べると年間予算が半分にも満たず、開発面で大きな制約を受けている。タイヤに優しい特性が、予選では裏目に出ている面もある。

 それでもランキング2位の座にいるのは、決勝は平均4.2位と善戦し、全レースで入賞を果たしているライコネンの強さゆえだ。成長著しいロマン・グロージャンが、後半戦安定して表彰台争いに絡むところまでくれば、ライコネンへのアシストを期待できるかもしれない。

 しかし、これ以上開発が進められないようであれば、タイトル争いに踏みとどまるのは難しいだろうとライコネンは見ている。

「僕らは勝つために戦っている。でもこれまでと同じように2位や3位ばかりが続くようなら、チャンピオン争いをするのには十分ではないだろう」

 予選に強いメルセデスと、決勝に強いフェラーリとロータス。それがシーズン前半戦の構図だった。そして、その両方に強かったのがレッドブルのベッテルだった。

 レッドブルは決してタイヤに優しいマシンではなく、決勝で苦労してきた印象もあるが、平均順位を算出すれば予選2.7位、決勝2.2位と、決勝の方が上回っている。予選も中国GP以外は全てトップ3と「一発の速さ」で安定感を誇りながら、決勝もイギリスGPのリタイア以外は全て4位以上、表彰台7回と大崩れはない。これが王者ベッテルの強さだ。

 レッドブルはまだ完全にタイヤの扱い方を理解したようには見えないが、タイヤエンジニアの獲得などを経て、徐々にその強さに安定感が増しつつある。ただし新パーツ投入の少なさを見れば、マシンはすでに「完熟状態」にあり開発の伸びしろはほとんどなさそうだ。後半戦はライバルたちの追い上げに晒される可能性も充分にある。

 では、8月末のベルギーGPから始まるシーズン後半戦は、どのような戦いになるのだろうか。

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