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【F1】シーズン後半戦展望。4強のうち優勝に近いのは誰か? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 まず言えるのは、シーズン前半戦がそうであったように、後半戦も「タイヤをいかに使いこなすか」が勝負のカギになるということだ。

 ハンガリーGPから投入された新型タイヤは、「特性はあまり変わっていない」とドライバーたちは言うものの、それはマシン挙動についての話であり、性能低下や摩耗の抑え方という点では従来型タイヤとの間に違いが存在することは間違いないようだ。内部構造が2012年型に置き換えられたこの新型タイヤについて、あるチーム関係者は次のように語る。

「違いは大きい。ピレリが言うような、2012年型と同じ特性になるというような単純な話ではない。マシンの側で合わせ込むことが必要になるが、まだ対応しきれていない」

 後半戦を占うもうひとつのカギは、今季型マシンの開発にどこまで注力できるかという点だ。

 2014年はエンジンが1.6リッターV6ターボに変わり、新たなハイブリッドシステムを統合したまったく新しいパワーユニットに生まれ変わる(現行型は自然吸気2.4リッターV8)。これによりマシン全体も大きく変わることになり、その開発に要するリソースは膨大なものとなる。つまり、勢力図が大きく塗り替わる可能性もある。

 そのため、シーズン後半戦は2013年型マシンの継続開発と2014年型の新規開発のバランスが課題になる。もちろんそこには、前述した新型タイヤへの適応も関わってくる。予算もマンパワーも余裕のあるチームはまだしも、予算規模の小さいロータスなどは苦戦を強いられることになりそうだ。

 逆に、まだ伸びしろのありそうなフェラーリ、そして不振のマクラーレンが問題を解決してくれば面白い存在になるという期待もある。そして、メルセデスがタイヤ問題を解決してくれば、予選だけでなく決勝でも最速の存在になる可能性もある。そうなれば、チャンピオン争いは逃げるベッテルと追うハミルトンの対決となり、そこにアロンソやライコネンが絡んでくることになる。

 ベッテルは言う。

「この夏休みはシーズン前半戦をゆっくり振り返る良い機会だ。自分たちが成し遂げてきたこと、そして後半戦に向けてどこが改良できるか、どこに目を向けるべきか。後半戦は短い期間にレースが続いてタフになる。僕がとても良いポジションにいるのは事実だけど、今のポイントシステムではあっという間に順位が入れ替わって、いろんなことが起こりうる。まずは目の前のレースに集中し、選手権のことはあまり考えすぎないようにしたいと思っているよ」

 いずれにしても、シーズン後半戦でベッテルの独走が続くことはないだろう。前半戦にも増してエキサイティングな戦いが繰り広げられることに期待したい。

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