【F1】シーズン後半戦展望。4強のうち優勝に近いのは誰か? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 新型タイヤが投入されたハンガリーGPでは完璧なレースコントロールで優勝を果たしたが、このときは彼を揺さぶるライバルが不在であったこともあり、本当に課題が克服できたのかは不明だ。

「この勝利はまだ第一歩でしかないと思っている。まだまだ厳しいレースもあるだろうし、タイヤがうまく機能してくれるのが、これが最後でないことを祈るだけだよ」(ハミルトン)

 しかし中盤戦に入って改善の兆候は見られており、後半戦でメルセデスAMGが台風の目になることは間違いない。

 また、3位につけるフェラーリのアロンソは、一発の速さではライバル勢に及ばないことを認めている。

「この1カ月の間、僕らはあまりコンペティティブじゃない状態が続いている。今の僕らはレッドブル、メルセデス、ロータスに次ぐ4番目のマシンでしかない。これでは少し厳しいよ」

 シーズン序盤は予選3位を獲得するなど「ここ数年で一番の出来」としていたマシンだが、第5戦スペインGP以降は5位以下に沈んでいる。特に第8戦イギリスGP以降は9位、8位と低迷している。

 その理由は、シーズン中盤になって開発が停滞してしまったことにある。

「イギリスGPで僕らはパフォーマンス面で後退したんだ、2歩も3歩もね。投入した新パーツがきちんと機能せず、旧型に戻さなければならなかった。これだけ旧型のパッケージで走っているんだから、パフォーマンスで後れをとるのは当然のことだ」

 フェラーリは7月のシルバーストン合同テストでデータ収集を行ない、風洞データに問題があったことを確認した。ここ数年悩み続けてきたコラレーション(実走データとの誤差)が改めて浮き彫りになったのだ。チームはすでに夏休み明けに向けて開発の方向性を修正しており、後半戦の巻き返しに自信を見せている。

 この1カ月間、苦しい戦いを強いられる中でも、アロンソはタイヤに優しいマシン特性とレース巧者ぶりを最大限に生かし、獲得ポイントをベッテルより「5」少ないだけに留めた。決勝で結果を残すアロンソ&フェラーリの勝負強さはここでもしっかりと発揮されていた。

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