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F1バーレーンGPで日本人エンジニアが悔やんだタイヤの選択 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 バーレーンGP決勝は、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)の独走優勝になった。しかしその後方では、レース中盤を過ぎてもなお、ディ・レスタとライコネンの激しい2位争いが繰り広げられた。

 2位を走行していたディ・レスタを、ライコネンが34周目にDRS(可変リアウイング)を使って一気にオーバーテイク。さらに、ディ・レスタの後方からは3ストップ作戦に切り替えてプッシュするロマン・グロージャン(ロータス)も近づいてきていた。 

 ここで、松崎らフォースインディアのエンジニアたちは、2位を争うリスクよりも、確実に3位をものにする戦略を選んだ。ディ・レスタにとっては自身初の表彰台がかかっていた。

「予定よりもピットストップを引っ張ったんです。キミに抜かれた時、後ろを見て戦略を少し変更しました。もっと早くピットインして最終スティントを伸ばすこともできたんですけど、少しコンサバティブになってしまった」

 レースは残り21周。安全を期して、松崎はハードタイヤを選んだ。だが、この決断が裏目に出た。

「グロージャンのあのペースは予想できなかった。あの距離ならミディアムでいっても良かったかもしれませんね。他車のタイヤのタレが非常に大きかったですし、そこはまだウチの理解が足りない部分もありました……」

 結局、残り5周でディ・レスタはグロージャンにもオーバーテイクされ、初の表彰台獲得はならなかった。それでも、レース後、ディ・レスタは悔しそうな表情を見せながらも、チームの働きを賞賛した。

「最後のピットストップのタイヤは別の選択肢もあったかもしれないけど、リスクを考えれば正しい選択だったと思う。僕たちよりも速さで勝るロータスと戦えたし、表彰台や優勝を争うためにはまだまだ力が足りないということさ。今日は4位が最大限の結果だったと思う。満足だよ」

 松崎は悔しさを滲ませた表情で、「まだまだです」と何度も言った。それは、目指すべき目標がはっきりと見えているからだ。そして、そこに向かうための道筋も、松崎には見えている。

 開幕4戦でのフォースインディアの躍進は、昨シーズンから歩んできた彼らの道のりが間違っていなかったことを証明している。

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