2013.04.16

面白いが悩ましい。
F1中国GPで見えてきたピレリタイヤの特性

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

中国GPで優勝したのはフェラーリのアロンソだった■序盤からトップが目まぐるしく入れ代わった要因は?

 今年の上海インターナショナル・サーキットでは、少し異様なレースが展開された。中国GPのトップは、刻々と入れ替わった。だが、そのほとんどは優勝の望みなどないかりそめのレースリーダーでしかなかった。そして、ほとんどのドライバーが目の前のライバルと戦うのではなく、自分のレースを淡々と走り切ることだけを考えていた。

 その原因は、タイヤだ。

「グレイニング(ゴム表面のめくれ)が僕のレースを台無しにしたんだ。それがすべてだった。それさえなければ、トップ争いができたはずだった」

 序盤に3番手を走っていながら最後は6位でフィニッシュしたフェリペ・マッサ(フェラーリ)は、レース後に悔しそうにそう語った。

 今年のピレリタイヤはゴムが柔らかい。それゆえ派手に攻めた走りをすると表面のゴムがめくれ、途端にグリップを失ってしまう。そしてそのゴムがちぎれ飛び、寿命も短くなってしまう。だから、ドライバーたちはタイヤをいたわるようにペースを抑えた走りを強いられることになる。もっと速く走る力はあっても、タイヤ交換の回数を減らすためにその力は発揮しない。その方が走行距離305kmのレースを速く走りきることができるのだ。

 まだ燃料が満載のレース前半は、特にこの傾向が強くなる。マシンが重い状態で柔らかいソフトタイヤを履けば、タイヤのゴムはすぐにボロボロになってしまう。

 ピレリが今回持ち込んだソフトタイヤは、10周程度しか保たなかった。予選Q3で3周走行してからスタートに臨まなければならなかった上位勢のタイヤには、すでに寿命がほとんど残されておらず、彼らは7周目までに続々とピットに向かった。彼らはその後も残りの周回数を3セットのミディアムタイヤで走り切るために、タイヤセーブの走りを続けることになる。

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