【F1】チャンピオン争い最終局面。王者を最終的に決する要因とは何か? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by YoneyaMineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 レッドブルとしても、ウェバーにベッテル援護を指示するつもりはない。クリスチャン・ホーナー代表は言う。

「チームオーダーを出すつもりはない。マークにもまだチャンピオンの可能性が残っている。計算上の可能性が完全になくなるまでは、チームオーダーを出すのはバカげていると思う。彼らは非常にフェアに戦ってくれているし、それが唯一のチームからの要求だよ」

 だが、チーム一丸となってアロンソのタイトル獲得を目指すフェラーリと、ドライバーふたりでポイントを食い合う形になりかねないレッドブル。そのスタンスの違いが、今後どのように影響するだろうか。

 現状、マシン性能ではレッドブルがずば抜けた速さを持っている。それに続くのがマクラーレンであり、フェラーリは3番目のチームでしかない。実際、第17戦インドGPの予選でもアロンソは5位が精一杯だった。

「僕らはセバスチャンひとりと戦っているのではない。エイドリアン・ニューウェイ(レッドブルのマシン設計技術責任者)とも戦っているとでも言うべきだろう。この4戦、レッドブルの2台は常に予選でワンツーなんだからね。僕らのポジションはレッドブルとマクラーレンの後ろだ。ロータスやフォースインディアがいい走りをすれば、あっという間に8位や9位になることだってある」(アロンソ)

 フェラーリのマシンは、予選では2チームに劣るが、重い燃料を積んで長い距離を走る決勝ではその差が縮まる。そこにアロンソの驚異的なドライビングとレース巧者ぶりで、インドGPでは2位を奪い取って見せた。

「すべてがうまくいったし、僕も全ラップ120%プッシュした。その結果がこの2位さ。(ベッテルに対して)ポイントを失いはしたけど、それは多かれ少なかれ想定通りだよ。ここでは彼らと戦うだけの速さがないことは分かっていたからね。2位でフィニッシュし最小限の差で抑えることができたし、レースでは戦えることも確認できた。だけど、今の僕らじゃ勝てない」

 アロンソはさらなるマシン改良の必要性を説く。そして、その道筋はすでにできていると自信を見せる。

「ここ数戦、アップデートがうまくいかずにクルマを速くしてこられなかったけど、今回(インドGP)はそれができているんだ。でも小さなアップデートでしかない。次のアブダビGPには大きなものを投入する予定だからね。もう少しマシンが良くなって、決勝ではセバスチャンの前でゴールしていくらかポイントを取り戻したいね。それが第一目標だ」

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