【MotoGP】来季移籍はほぼ決定!?ロッシが探し求める「最後の花道」

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

ラグナセカではリタイアしたロッシ。来季はドゥカティから移籍する可能性もラグナセカではリタイアしたロッシ。来季はドゥカティから移籍する可能性も
 まるで映画のワンシーンのような映像だった。

 ラグナセカサーキットの最高地点・ブラインドコーナーの入り口「ターン8」、そこからジェットコースターのようにくだるS字シケインの「コークスクリュー」を写していた画面が、赤いツナギと黄色を基調としたヘルメットの人物を捉える。バレンティーノ・ロッシ(ドゥカティ)だ。

 ロッシは肩を少し落とし気味に淡々とコースサイドへ歩いてゆく。丘の頂上に姿を現したMotoGPマシンが左から右へと切り返しながら次々と急坂を駆け下りてゆく傍(かたわ)らで、セーフティゾーンを横切り悄然(しょうぜん)と歩く姿の違和感は、この日のレースで最も印象的な場面だったかもしれない。

 第10戦U.S.GPの決勝レース30周目、14時44分の出来事だった。

 この瞬間に、おそらくロッシは内心で最終的な決断をしたのではないだろうか。

 今回のレースウィークでは、彼の来季の行方に対する関心がピークに達しようとしていた。シーズン序盤から、このU.S.GPで去就を決めたいと発言しており、前週に行なわれたイタリア・ムジェロサーキットのテストとこの大会の結果をもとに、ドゥカティに残留するか、他陣営へ移籍するかを判断する、そう話していた。

 しかし、第10戦を直前に控えた木曜には、「まだ決断をしてない。このレースを終えて第11戦までのサマーブレイク期間中に決めたい」と、やや曖昧な口調に変わった。この発言は相手を煙に巻くことが目的ではなく、どうやら本当にこの段階では、来季の去就を決めかねている様子だった。

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