【MotoGP】これぞ名勝負。ロッシがストーナーとのバトルを制して復活の2位

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

フランスGPで2位に入ったバレンティーノ・ロッシ。優勝はホルヘ・ロレンソフランスGPで2位に入ったバレンティーノ・ロッシ。優勝はホルヘ・ロレンソ 雨の決勝レースとなった第4戦フランスGPで、ケーシー・ストーナー(レプソル・ホンダ)とバレンティーノ・ロッシ(ドゥカティ)が繰り広げたバトルは、両者の一歩も譲らない意地が、最高水準の技術に支えられて真っ正面からぶつかり合い、見るものを存分に酔わせる戦いになった。

 独走で優勝を飾ったのはホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)で、彼のハイレベルな安定感と集中力が賞賛に値する内容だったことも間違いないが、それよりも今回のレースの焦点は、ストーナーvsロッシの2位争いだったといっていい。

 過去の数々の名勝負がそうであったように、おそらくこの戦いも、長く語り継がれることで人々の記憶がいっそう強化されてゆく、そんなレースになるのかもしれない。

 名勝負と言われるものはすべからく、いくつかの偶然の重なり合いがその戦いをドラマチックに演出する効果をもたらす。今回も例外ではない。

 ストーナーとロッシの雨のバトルの重要な背景としてまず挙げられるのは、レースに先だつ木曜に発表されたストーナーの今季限りでの引退宣言だ。

 ストーナーは、現役を長く続けることはないと以前から公言しており、数戦前にも引退説が流布されて物議を醸したが、本人がその噂を否定した直後の今回の発表だっただけに、その衝撃はなおさら大きかった。

 ちなみに、ストーナー自身は、この噂が流れた4月下旬段階ではまだ引退を決心していなかったので、そのニュースはあくまで<誤報>だ、と述べている。

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