【F1】5戦で5人のウィナー。空前の大混戦の要因を考察する

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

スペインGPの勝者はウイリアムズのマルドナド。今季5人目のウィナーだったスペインGPの勝者はウイリアムズのマルドナド。今季5人目のウィナーだった
 ウイリアムズのパストール・マルドナドが第5戦スペインGPで優勝し、2012年シーズンのF1は開幕からの5戦で5人の勝者が生まれるという前代未聞の事態となった。しかも、結果がマシン性能に大きく左右されるモータースポーツにあって、勝利チームまですべて異なっているのだ。

 ちなみに、スペインGPを制したマルドナドは、2010年のGP2王者であり、今季はF1で2シーズン目ながら開幕からたびたび上位勢に割って入るなど好走を見せていた。

 開幕戦オーストラリアでフェラーリを抑えて5位を快走し、最終ラップに激しいクラッシュを演じたことも記憶に新しい。着実に評価を上げているドライバーだが、いきなり優勝を果たすとは誰も予想していなかった。

 ウイリアムズは名門チームとはいえ2004年以来勝利から遠ざかっており、昨年もランキング9位に沈むなど低迷が続いていた。今季はマシンの仕上がりが良く、初テストのヘレスからチームの雰囲気は良かった。

 マシン設計が当たり、エンジンをルノーに換えてパワーアップを果たしたことが性能向上につながったようだが、それでもやはり、いきなり3強(レッドブル、マクラーレン、メルセデス)を突き崩して優勝するとは誰も思っていなかった。

 しかし、それはマレーシアGPのザウバーにも言えたことで、実際、セルジオ・ペレスは2位だったが、あの時のザウバーには優勝するだけの速さがあったことは誰もが認める事実だ。

 では、なぜこのような混戦状態になっているのだろうか?

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