【F1】「らしさ」を発揮して5位。可夢偉がスペインGPで見せた「成長の証」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

予選9番手スタートながら、上位をパスして5位入賞を果たした小林可夢偉予選9番手スタートながら、上位をパスして5位入賞を果たした小林可夢偉 自己最高位タイの5位入賞。

 しかし、そんな結果では到底満足できないほど、スペインGP小林可夢偉には速さがあった。

「今回は調子良かったから、行けるんちゃうかって思ってたんですけどね、マジで」

 表彰台に行ける、可夢偉はそう思っていた。金曜に走り始めてから、マシンは絶好のパフォーマンスを発揮していたのだ。予選4位を獲得した「中国GPのとき以上の仕上がりだった」と可夢偉は言った。

 しかし予選で発生したトラブルが、可夢偉の望みを絶った。

 マシン各部の作動を司るハイドローリックシステムのオイルが漏れ、Q3に進出しながら、アタックをすることができなかったのだ。

「Q1からマルドナド(ウイリアムズ)と近いところにいたんで、2位か3位には入れてたクルマの調子だったと思います。Q3で走れていたら、あそこ(予選トップ3会見場)で喋ってましたよ」

 タラレバは禁句とは言え、予選1位のルイス・ハミルトンが失格となったため、可夢偉はフロントローから決勝に臨んでいたかもしれないのだ。

 だが9番グリッドからのスタートとなった可夢偉は、諦めずに上位勢に真っ向勝負を挑んだ。中国GPでは「同じ戦略では競り負ける」と言ったが、ここバルセロナでは同じ戦略で対等の戦いを見せた。いや、それ以上の速さだった。マクラーレンのジェンソン・バトン、そしてメルセデスAMGのニコ・ロズベルグをコース上で鮮やかにぶち抜き、自力で5位まで這い上がってきたのだから。

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