【F1】2016年シーズン分析。
フェラーリの王座奪還はあるのか?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

2016年シーズン・10大注目ポイント@前編

 F1の2016年シーズンは3月18日~20日、メルボルンでのオーストラリアGPで幕を開ける。開幕まで残り約2ヶ月、ファンにとっては待ち遠しい日々が続く。そこで今回は、2016年シーズンの注目ポイントを10点、ピックアップしてみた。

昨年は3勝を挙げて復活を遂げたフェラーリ昨年は3勝を挙げて復活を遂げたフェラーリ(1)メルセデスAMGの覇権は続くのか?

 2015年シーズンはメルセデスAMGが19戦16勝を挙げ、18戦でポールポジションを獲得。2年連続してダブルタイトルを制覇した。その圧倒的強さは、「F1を退屈にした」とさえ言われるほどだ。今シーズンも彼らの覇権は続くのだろうか?

 F1パドックでは、「彼らのアドバンテージはあと数年続く」というのが、大方の見方だ。その原動力は、やはりパワーユニット(PU)にある。

 エンジンの排ガスで回すタービンと、その回転力で吸気を圧縮するコンプレッサーをPUの前後に分けて配置し、タービンに接続するMGU-H(※)の性能を高めた。そのため、メルセデスAMG製PUは基本的なパワーだけでなく、エネルギー回生システムの効率にも優れ、なおかつ信頼性も高い。そして冷却に優れているため、空力的にも優しい。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

 メルセデスAMG製PUを使う、あるカスタマーチームのエンジニアはこう語る。

「メルセデスAMGのPUは、2014年の新規定スタート時から大きなアドバンテージがあった。現在のレギュレーションでは毎年48%の変更が認められているとはいえ、根本的な構造変更は難しい。他メーカーがその差を取り戻すのには、2~3年はかかるだろう」

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