有力馬に不安あり。ゴールドアクターが有馬記念で波乱を起こす

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 師走の風物詩でもある有馬記念(12月27日/中山・芝2500m)が、まもなく開催されます。当日の中山競馬場は、「ホースマンの夢」である日本ダービーや、「古馬の頂点を決める」天皇賞とはまた違って、独特のムードに包まれます。ファンの方にとっても"1年の総決算"となりますから、誰もが注目するビッグレースと言えるでしょうね。

 また毎年、有馬記念で現役を退くスターホースがたくさんいます。昨年はジェンティルドンナが、一昨年はオルフェーヴルが、この舞台を最後に引退しました。それぞれ、見事有終の美を飾って、レース当日に引退式も行なわれました。

 そして今年は、GI6勝のゴールドシップ(牡6歳)がここで引退します。もともと人気のある馬ですが、2年連続でスターホースが"ラストラン"を勝利で飾っていますから、余計に人気を集めそうですね。

 実際に今年のメンバーでは、ゴールドシップの他、GI馬は4頭のみ。しかも2勝以上しているのは、ラブリーデイ(牡5歳)だけですから、その実績は抜けた存在です。さらに、ゴールドシップと言えばこのジョッキーという、内田博幸騎手が鞍上を務めます。フィナーレを飾るお膳立てが整っている分、ますます人気が集中しそうです。

 そうは言っても、いつ走るかわからない、あの"気分屋"な面がある限り、やはりゴールドシップは積極的には買えません。人気になることを考えれば、なおさらです。もしも、前走ジャパンカップ(11月29日/東京・芝2400m)の大敗(10着)が嫌われて、4、5番人気まで評価が落ちるようであれば、食指が動きますが......。

 安定度を考えるなら、ラブリーデイでしょう。その点においては、ゴールドシップよりも信頼できます。しかし同馬も、今年すでに9戦を消化して有馬記念が10戦目。まして、今年のほとんどのレースで目いっぱいの競馬をしていますから、その蓄積疲労が心配です。ジャパンカップでは先に抜け出しながらも、後続に差されて3着に敗れました。あの内容は、そうした影響があったのではないか、と個人的には見ています。

 ゴールドシップ、ラブリーデイと、上位人気が予想される2頭がそんな状況。とすれば、今年の有馬記念は"大波乱"があるかもしれません。

 そこで、まず注目してみたいのが、3歳牝馬のルージュバック(牝3歳)です。デビューから3連勝を飾り、しかもその3勝目が、牡馬クラシック候補が集ったきさらぎ賞(2月8日/京都・芝1800m)でした。その時点では、「3歳牝馬GIを総なめか」というほど、高い評価を得ていました。

 ところが、桜花賞(4月12日/阪神・芝1600m)が9着、続くオークス(5月24日/東京・芝2400m)でもゴール前で差されて2着にとどまりました。その後、秋への巻き返しが期待されましたが、調整が遅れて、3歳牝馬最後の一冠となる秋華賞(10月18日/京都・芝2000m)も回避。結局、古馬混合の牝馬限定GIエリザベス女王杯(11月15日/京都・芝2200m)でやっと復帰しましたが、そこでも4着に敗れて、3連勝当時の面影は完全に薄れてしまいました。

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