【競馬】「別の生き物」と形容される、2歳世代屈指のディープ産駒

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選!2歳馬情報局(2015年版)
第1回:フォイヤーヴェルク

 2012年生まれの3歳馬が世代の頂点を競った、5月31日のGI日本ダービー(東京・芝2400m)。まだその余韻もさめやらない中ではあるが、今週末からは、早くも1歳下の2歳馬たちが続々とデビューし始める。もちろん目指すは、来春の3歳クラシックだ。

 そんな2013年生まれのサラブレッドの中で、デビューが数カ月先でありながら、すでに高い評価を受けている若駒がいる。フォイヤーヴェルク(牡2歳/父ディープインパクト)である。

牧場関係者が絶賛するフォイヤーヴェルク。牧場関係者が絶賛するフォイヤーヴェルク。 フォイヤーヴェルクを生産・育成したのは、現代の日本競馬を牽引するノーザンファーム(北海道安平町)。毎年のようにGI馬を輩出する同牧場の中でも、この2歳馬は育成段階からその素質を絶賛されているという。育成を担当したノーザンファーム早来の林宏樹氏が、その理由を語る。

「本当にいい馬なんですよね。なんというか、『別の生き物』みたいです。体は420kg台(3月末時点)と小さいんですが、跳びが大きくて滞空時間が長いんです。ですから、大きい馬と一緒に走っても小さく感じません。加えて、ビュンと加速するときの弾け方が乗っていて気持ちいいんです」

 フォイヤーヴェルクの母は、ドイツのGIを2勝したナイトマジック。2009年のGI独オークス(ドイツ・芝2200m)では、後続を4馬身半突き放す圧勝劇を披露。その年のドイツ年度代表馬に選ばれた。さらに、ヨーロッパの強豪が参戦した2010年のGIバーデン大賞(ドイツ・芝2400m)では、牡馬を相手に快勝。ふたつ目のタイトルを獲得した。その他、4度のGI2着があり、まさにドイツ競馬界屈指の「名牝」と言える。

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