【競馬】ドゥラメンテに不安。ダービーで台頭する意外な「穴馬」

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

「競馬の祭典」日本ダービー(東京・芝2400m)が、いよいよ5月31日に開催されます。

 ダービーは、有馬記念や天皇賞など、他のどのGIとも違って、競馬サークル内は独特の雰囲気に包み込まれます。当日の競馬場はもちろん、週中のトレセンもいつもとは異なって「(ダービー)ならでは」というムードになります。それほど、ホースマンにとっては"特別"なレースです。

 そのため、まだダービーを勝ったことのないジョッキーは、特に上位人気の馬に騎乗する際には、ものすごいプレッシャーがかかります。その分、なかなか勝つのが難しくなります。逆に、一度でもダービーを勝ったことのあるジョッキーは、そこまでのプレッシャーを感じることがないので、普段どおりの騎乗ができて、再度いい結果を得ることが多々あります。

 例えば、昨年の横山典弘騎手騎乗のワンアンドオンリー(1着)と、蛯名正義騎手騎乗のイスラボニータ(2着)。着差はわずか4分の3馬身でしたが、まさにそこには、ジョッキーがダービーを「勝っている(横山典騎手)」か「勝っていない(蛯名騎手)」かの差があったように思います。その前年、1着キズナ、2着エピファネイアも同様です。ダービーを勝っている武豊騎手騎乗(キズナ)か、勝っていない福永祐一騎手騎乗(エピファネイア)か、その差が結果に表れたのではないでしょうか。

 今年のダービーは、皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)を制したドゥラメンテ(牡3歳)の1番人気が濃厚です。鞍上はミルコ・デムーロ騎手。すでに日本ダービーを勝ったことのあるジョッキーですし(2003年=ネオユニヴァース)、皐月賞の勝ちっぷりからしても、かなりの人気になりそうです。

 ドゥラメンテの脚力と瞬発力、競走能力の高さは、疑う余地はありません。加えて鞍上も、ダービーをはじめ、有馬記念やジャパンカップ、天覧競馬となった天皇賞・秋など、数々の大舞台で結果を出してきた名手。その経験は、大きなアドバンテージになることでしょう。

 とはいえ、不安材料がないわけではありません。まず、ドゥラメンテの戦績は5戦3勝2着2回ですが、その2着に敗れた2回が東京コースだったこと。

 確かに、ともに「負けて強し」の内容でしたが、誰もが驚愕した皐月賞のパフォーマンスからすると、どんな不利があったとしても、新馬戦(2014年10月12日/東京・芝1800m)でいまだ1勝馬のラブユアマン(牡3歳)の後塵を拝すなど、ちょっと考えられないことです。にもかかわらず、実際に負けてしまったということは、東京コースの長い直線に"懸念"があるのかもしれません。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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