【競馬予想】オークスで二冠達成を狙う桜花賞馬のエンブロイダリー 数々の懸念を克服できるか (2ページ目)
何より懸念されているのは、その血統だ。
エンブロイダリーの父アドマイヤマーズは、国内外でGI3勝を挙げているが、そのすべてがマイル戦だ。母の父クロフネにしろ、父の父ダイワメジャーにしろ、2000m前後の距離はこなしているものの、それぞれが最も力を発揮したのは、芝ではマイル戦と言った印象が強い。決して、長い距離が向く血統ではないことは明らかだ。
次に、エンブロイダリーのここまでの臨戦過程である。とりわけ危惧されているのは、4戦目の1勝クラスで芝1400mのレースを使っていることだ。先の専門紙記者が言う。
「過去10年を振り返っても、キャリア4戦目に芝1400m戦を使われているような馬がオークスを勝ったことはありません。2018年に牝馬三冠を遂げたアーモンドアイがオークスまでの間に芝1400m戦を使われていますが、それは新馬戦でのこと。2016年の覇者シンハライトも2戦目、2015年の勝ち馬ミッキークイーンもデビュー戦でした。
しかし、エンブロイダリーの陣営は4戦目に芝1400m戦を選択。デビューから3戦ものレースを消化してきたなかで、マイルよりさらに短い距離に同馬の適性を感じていた、ということになります。それを考えれば、2400m戦への疑問が沸くのも当然でしょう。
加えて言えば、桜花賞後も『(エンブロイダリーの)次戦はオークスではなく、GINHKマイルC(東京・芝1600m)』といった噂が流れたほど。おそらく(陣営のほうでも)この頃はマイルに適性があると見て、『マイル戦を中心に使っていく』というプランがあったのでしょう。そうなると、距離延長への不安はますます増しますよね」
懸念はまだある。それは、今年のオークスで予想される展開だ。
先の専門紙記者によれば、展開のカギを握るのは、前々走の1勝クラス・ゆりかもめ賞(2月9日/東京・芝2400m)で6着に敗れたあと、前走のGIIIフラワーC(3月22日/中山・芝1800m)で巻き返しを図ったレーゼドラマ(牝3歳)だと言う。そして、その想定から導かれる展開についてこう語る。
「レーゼドラマはその2戦とも、道中は逃げ馬の番手という位置取りでした。それで、前々走では追い出しを我慢しすぎて6着に敗れましたが、前走ではその反省から、3角すぎあたりから先頭に立って、そのまま押しきって完勝。この成功体験を鑑みれば、オークスでも早め先頭からの押しきりを狙うはずです。
そうなると、最後はスタミナの削り合いといった、ステイヤー資質を持った馬向きの展開になると見ています。少なくとも、オークスにありがちなスローの瞬発力勝負にはならないでしょう。そういった展開に、はたしてエンブロイダリーは対応できるのか、ということです」
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