激戦の3歳牝馬戦線――年明け早々、桜花賞とオークスの勝ち馬を予想してみた! (3ページ目)
坂本達洋記者(スポーツ報知)
◆桜花賞=ブラウンラチェット(牝3歳/父キズナ)
◆オークス=エンジェルマーク(牝3歳/父エピファネイア)
ブラウンラチェットは、前走の阪神JFでは16着と大敗を喫してしまいましたが、秘める素質の高さから、評価を下げる必要はありません。阪神JFに向けては中間から馬体を減らし気味で、レース当日がマイナス12kg。さすがに厳しかったです。
加えて、阪神JFは初めてのフルゲート18頭での多頭数のレース。道中は他の馬にぶつけられてエキサイトするなど、スムーズさを欠く内容でした。タフな競馬を強いられて、最後の直線で完全にガス欠になってしまったのもやむなしでしょう。
重賞初制覇を飾ったアルテミスSでは、流れに乗ってキレ味も見せての完勝。マイルの距離に不安はなく、むしろ血統的な魅力から将来性を期待したくなります。何と言っても昨年の米GI、ケンタッキーダービーとブリーダーズCクラシックで3着と大健闘したフォーエバーヤングの半妹ですからね。
管理する手塚貴久調教師がデビュー前から「うちの(2歳勢の)なかで一番いいくらい。めちゃくちゃ走ると思う。これはいいですよ」と、その素質にほれ込んでいる逸材。十分に巻き返しがあると見ています。
エンジェルマークはまだ1勝馬ですが、血統背景から期待できる素質と2400mへの距離適性を見込んでイチ押ししたいです。
夏の新潟での新馬戦(2024年9月1日/芝1800m)は、少頭数でのスローペースの展開。逃げた1番人気グロスビークをマークしながらの競馬で最後はキレ味勝負となりましたが、メンバー最速の上がり32秒9という瞬発力を発揮して押しきりました。内で粘るグロスビークとの叩き合いの末に、きっちりと首差前に出たレースっぷりは、前向きな勝負根性も感じさせる味のある内容でした。
管理する宮田敬介調教師が「まだ体質の弱さを感じながらの調整でしたが、何より実戦にいっての気性がいいですね。これくらいの完成度でひとつ勝てたのは大きいです」と語っていたように、素質だけで勝ったような一戦。そういう意味では、大きな伸びしろを見込める結果でもありました。
続く2戦目の1勝クラス・百日草特別(2024年11月3日/東京・芝2000m)では、差し届かずの3着でしたが、上がりはメンバー最速の33秒5をマーク。キレ味があることをあらためて示しました。
次戦は、リステッド競走の若駒S(1月25日/中京・芝2000m)を予定。宮田調教師は「(百日草特別で)距離はもちそうと再確認できました。オークスを目標に、賞金を加算していきたいですね」と、牡馬相手でも勝負になる手応えを見せています。
母ステファニーズキトゥンは、2015年のブリーダーズCフィリー&メアターフを勝つなど米GIを5勝した名牝。現状、その子からまだ大物は出ていませんが、この馬はひょっとすると......という気にさせてくれます。桜花賞というよりもオークス向き。いかにも東京コースが合っていそうなイメージなのもいいですね。
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