豪華な顔ぶれのヴィクトリアマイルで穴を開けるのは? 期待は「東京・芝1600m戦」向きな血統を持つミッキーアイル産駒2頭 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 母の父ハービンジャーは、芝12F(約2400m)の英GⅠキングジョージ6世&クイーンエリザベスSの勝ち馬。産駒はブラストワンピース(GⅠ有馬記念)、モズカッチャン(GⅠエリザベス女王杯)、ディアドラ(GⅠ秋華賞)、ペルシアンナイト(GⅠマイルチャンピオンシップ)と、中距離タイプが多い。母系に入ってもスタミナを伝えるはずだ。

 メイケイエールが芝短距離に出走するようになったのは、気性の激しさからくる、抑えきれないくらいの行きっぷりによるもの。騎乗する騎手もずっと苦労してきたが、レースを重ねるうちにそんな面もあまり見られなくなってきており、今なら1600mでもいい走りができそうな気配がある。

 他が強力メンバーのため、人気も集まらず気楽な競馬ができそう。オルフェーヴルやスイープトウショウなど、これまでにも同じようなタイプの馬の末脚を引き出し、GⅠを制してきた池添謙一騎手の腕の見せどころだ。

 もう1頭も、ミッキーアイル産駒のララクリスティーヌ(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)を推す。母の父タニノギムレットは2009年の勝ち馬ウオッカの父。また、祖母の父フジキセキは2007年のコイウタ、2008年のエイジアンウインズ、2015、16年の勝ち馬ストレイトガールと、3頭でヴィクトリアマイルを4勝している、ディープインパクトに並ぶこのレース最多勝種牡馬だ。

 前走、芝1400mのGⅢ京都牝馬Sで重賞初制覇を飾ったが、芝1600mは昨年11月のキャピタルS(東京)を含む2戦2勝。血統的にもこのコースがベスト条件とさえ思える。

 以上、今年のヴィクトリアマイルは、ミッキーアイル産駒の2頭、メイケイエールとララクリスティーヌに期待する。

プロフィール

  • 平出 貴昭

    平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)

    主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

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