ウマ娘に描かれているイメージどおりの「負けん気」。カワカミプリンセスは秋華賞を猛々しく勇ましく走った (3ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Kyodo News

 この時代に一般的だった臨戦過程は、大舞台の前に一度"前哨戦"を使う形。ステップレースで脚慣らしをして、秋華賞でベストコンディションに持っていくパターンだ。

 しかし、カワカミプリンセスはオークスを終えてから一度もレースを使わず、およそ5カ月後の秋華賞に直行したのである。

 今でこそ、前哨戦を挟まず大舞台に直行するケースは珍しくなくなったが、この頃は非常に稀有な臨戦過程だった。

 なお、カワカミプリンセス陣営が直行を選択する伏線はあった。というのも、同馬を管理する西浦勝一調教師、レースで騎乗する本田優ジョッキーのコンビは、2001年にもテイエムオーシャンという馬で秋華賞を制している。実はこの時も、オークスから秋華賞への直行だったのだ。

 そんな先輩と同じ道を歩むことになったカワカミプリンセス。レース当日、やはり直行が不安視されたのか、1番人気はライバルに譲った。武豊騎乗、桜花賞2着、オークス4着、さらにその後の前哨戦を制してきたアドマイヤキッスだった。

 カワカミプリンセスは2番人気。久々のレースがどう出るか、ファンも予測しにくかった。

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