末脚自慢が集った皐月賞。前哨戦で完璧な予行演習をこなした逃げ馬から漂う大駆けムード

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro
  • photo by Sankei Visual

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 2週にわたって阪神競馬場で行なわれたGI、大阪杯と桜花賞はともに注目を集めた1、2番人気が不発に終わる波乱の決着。春のGIシリーズはひと筋縄とはいかない状況が続いています。

 馬場や枠順などが結果に影響することも大きく、GIを勝つためには騎手の乗り方を含めて、すべてがかみ合う必要がありますね。

 さて、今週は舞台が中山に移って、牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)が行なわれます。

 僕も1997年にサニーブライアンで勝たせてもらいましたが、その時のことは25年経った今でも昨日のことのように覚えています。勝つためにはどういう騎乗をすべきか、幾度となくシミュレーションを繰り返し、そのイメージどおりの騎乗でつかんだ栄光だったので、レース後のうれしさは格別なものがありました。

 皐月賞はそれほど思い出深いレースゆえ、予想する立場になっても同レースの検討には自然と力が入ってしまいますね。

 今年の皐月賞は、さまざまな路線から有力馬が集結しました。2歳戦の重賞からぶっつけで挑む馬、年明けの重賞を制して直行してくる馬、さらに直前のトライアルを制したり、好走したりして臨んでくる馬が何頭もいます。それらのほとんどが未対戦のため、横の比較が非常に難しい一戦です。

 とはいえ、馬券的に見てこれほど面白いGIはそうそうありません。有力馬は五指に余り、どの馬から狙っても安い配当で決まることはないと思いますからね。自分の好みの馬から勝負して、ズバッと好配当を仕留めることができれば、何事にも代えがたい喜びを得られるのではないでしょうか。

 上位人気が予想される面々のなかで、ここでの走りが最も計算できそうなのは、ドウデュース(牡3歳)。皐月賞と同じ舞台で行なわれた前哨戦のGII弥生賞(3月6日/中山・芝2000m)でも、3~4コーナーで2度の不利を受けながら勝ち馬と同タイムの2着。さすがは「2歳王者」と呼べる結果を残しました。

 無傷の4連勝とはならなかったものの、"負けて強し"の内容で、その評価が下がることはありません。

 皐月賞はトライアル戦よりもペースが流れやすいため、この馬の差し脚についてはより信頼度が増しそう。加えて、鞍上は名手・武豊騎手。先週の桜花賞ではわずかハナ差でGI制覇を逃しているだけに、今週こそ、という思いが強いのではないでしょうか。

 馬券検討の取捨において一番頭を悩ましそうなのは、2戦2勝ながら初の中山コースとなるイクイノックス(牡3歳)とダノンベルーガ(牡3歳)でしょうか。

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